2014年本屋大賞をとったそうです、この本。
いつもの本屋の入り口の一番前に平積みされていた本。
反射的に避けて通ったのだけど、最近こういう,所謂、軽い泣かせるお話を
読んでないなと戻って手に取った。そのままレジに行き、⒉~3日横目で眺めて
いたのだけど、《はいはい、分かりました、読みますよ。》とばかりにこの世界に
入っていく。
発見して解放されていく、決して解決じゃないけど、
《それでいいんじゃないの!・・・》というほっとする着地。
ここに出てくる人は何か間が抜けていて、人に騙された事にも気づかない・・・
そんな人が主人公の周りでウロウロする。
主人公は社会の移り変わりに息苦しさを感じている。
会社の7枚綴りの伝票処理が快かった時代が過ぎ、いつの間にかコンピューター
で処理されるようになる。課長はいつの間にかコピーをゼロックスをとって来てくれ
というようになり、機を織るように漢字を見つけては拾う和文タイプはなくなった。
みんな一生懸命新しいシステムに慣れて行く。しかし、そういう仕事に楽しさを
見いだせなくなってしまった。
時代の移り変わりの中で何かこれは違うんじゃないかと不安や疑問を持つ人は
多いのでは・・・。
すぐに慣れる人、疑問なんか持たない人、いつまで経っても慣れない人、これは違う
んだと辞めたり、引きこもってしまう人。
みんなそんなに器用じゃないんだ。でも、それでも自分が居心地が良いと感じる
処を見つけてなんとか、生きて行く。
そんな優しさを感じながら・・・密かに泣きながら、そして、心がほっこりする。
慰められる良い本でした。