Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2013年11月30日土曜日

高島野十郎その人

この人は若い頃から人間が存在するこの世界を
安穏を求める場ではなく、ひたすら修行僧のように
何かを追い求めて自分を律していく場として捉えて
いたのではないだろうか。
首席で卒業したという経歴をいとも簡単に捨て去り、
一か八かの世界に飛び込んで行く。
その為に、異性にも目もくれず、家庭も持たず、
楽な生活にも憧れなかった。
野十郎は魚の精密なデッサンを描いて、科学に対して
大きな疑問符を投げつけたノートにこう、書いている。

『こう、思い進む事が科学、これが迷信』

『科学をやっていると、自分の頭が滅茶苦茶になる。
動物学や科学や数学をやったり、哲学したり、
そんな事がいかに我が身に害毒した事か、
そのモルヒネ中毒を洗ひ落とすのに一生かかる。』

こんな激しい科学批判をする人を私は知らない。
しかし、科学万能の結果を今危ぶんで居る人が
少なく無い事を考えれば、この時代に害毒だと感じて
いたこの人はやはり、鋭い人だったんでしょう。

野十郎のノートには更に
『過去即未来
時間即無
未来即過去
空間亦復如是』

ここにある事が所謂彼の画業に現れて居る事なのかも
知れない。
あの蝋燭の絵がそうなんでしょうね。

彼は言います。
『道がなんだか知っているか、だったら、言ってみろ!』

2013年11月28日木曜日

高島野十郎評伝その3

大正5年(1916)、野十郎は26歳で東京帝大水産学科を
首席で卒業。
魚の感覚に関する研究を行っていた。また、卒業時に
授与の候補に挙がっていた恩賜の銀時計を辞退した。
これで、引くに引けぬエリートコースへの退路をタチ、
同時に栄誉心もかなぐり捨て画業に専念するしかない
道を選んだ。

この人は人生の始まりから厳しく、険しい道を選んで
いるのですね。
私はこういう生き方を自分では出来ないから、観たり、
読んだりするのが好きです。
そして、(それって、大変じゃないの!とか、難しい
でしょ!とか、不可能でしょ!)というのが、基本的に
イヤ。
難しい、大変、と言われれば言われる程、手を出したくなる
というへそ曲がり。
そんな人生も終盤に差し掛かり、そんな事も言えなくなって
きているけど、やはり、この歳でも出来る挑戦・・・と言う
なんチャラを模索中。
今は若い人のそんな挑戦に何となく、手を貸すのが喜び
になっています。

野十郎は人生の終盤に数えきれない程の『蝋燭』の絵を
描いています。
それを知人の誰彼、構わずにあげています。
この絵に何かを感じる人は大切に子孫に伝えているでしょうが、
何も感じない人に貰われていったとしたら、悲しいですねえ。

私は真似をして、何枚か描いた事がありましたが、全く上手く
行きませんでした、当然だけど・・・。
歳をとったから、少しは近ずけるだろうか。
不可能、無理、大変、・・・ですかね。

2013年11月21日木曜日

桃、栗3年、柿8年、・・・

今年は夏ミカンやら、レモンやら、柑橘系の当たり歳
とか。
何処の家の黄色い生り物も豊作と見えて、文字どおり
たわわに実っていて、シトラス系が大好きな私には
『いいな〜』
と思わず足を止めて魅入ってしまいます。
で、今日は散歩の帰り道に見つけました。
ゴツゴツしたニキビ面の柑橘。それも子どもの頭ほどの
凄い大きさ。
カリンだろうか、それとも新種のなにか。
一体ナンダロウト佇んでいたら、中の住人がお二階の
ベランダで洗濯物を干し始めました。
『失礼しますが、この実は何ですか?』
『柚子ですよ。』
『植えて何年ですか?』
『え〜30年かな〜』
『30年ですか、凄いデスね〜。
写真撮ってもいいですかあ?』
『どうぞ〜』。

その後、私は心の中でずっとつぶやいていた。
(桃栗三年柿八年、柚子の馬鹿野郎18年)
って、誰かが言っていたよね。
そんなに待てないな〜。

2013年11月11日月曜日

レトロなバッグシリーズ2

第二段のレトロバッグが出来上がりました。
ふふふ、少しづつ網目が揃って、技巧派に向かって
ますぞ!
長編みが揃って美しい!
朝起きると、少し編み、寝る前に少し編み・・・を
繰り返し、半月程で仕上げます。
昼間はとても忙しくてやってられません。

さてさて、そろそろ次の作品の材料が送られてきます。
これで、2750円。
私には楽しい値段ですが、高いと思うか、安いと思うかは
その人次第。
それに、次に何が送られて来るかが分かりません。
全体でこれとこれの作品です。は、わかっているのですが、
こんどこれ!と言うのは此方で決められない。
これを良しとするか、否とするかも人次第ですね。
とにかく、楽しみ。
早く来ないかな〜。

2013年11月9日土曜日

高島野十郎評伝 第二

ここに高島野十郎氏の"カラスウリ"の絵があります。
これを観て"凄い!"と思わない人はいないと思います。
この存在感。
存在感や写実が欲しいのなら、写真があるだろう!
という人もいるでしょう。でも、そういう人に尋ねたい。
写真にこれだけの奥行きと思想を感じるか!
写真は被写体を強く感じます。
もちろん撮る人の技術によって、生かされもします。

絵は描く人の心、感情、生き方、思想、技術、そして、
被画体?の人間の命に匹敵する程の生命感を感じさせて
くれます、その画家によって。

彼は言います。
『花一つを、砂一粒を人間と同物に見る事、神と見る事。』
カラスウリの一つ、ヒトツ、枯葉の一枚、イチマイに光を
当てて、その存在を解き明かしたこの技術は身過ぎ世過ぎ
の為の作業ではなく、その思想の実践だと思えないだろうか。

何と言ってもこの絵のような凛とした、晴明な人生を
送ったという事はうれしい。
ただ、この高島野十郎でさえ、あのバブル時代に地上げ
業者によって、多いに悩まされ、苦労したという話の章は
実に悲しい思いで読みました。
そして、今の私は価値観、人生観を少し(?)所か大きく
反省してみなくてはいけないかも。

2013年11月7日木曜日

“過激な隠遁”高島野十郎評伝 その一

何十年も前に日曜美術館をたまたま観ていて、
初めてこの作家さんの名前を知りました。
この時にこの本の作家である川崎とおるさんが
高島野十郎との因縁を話していたことが妙に
印象に残りました。
野十郎の自画像と有名な?カラスウリの絵と
この川崎さんの偶然の邂逅の話が脳裏に残ったのです。

川崎さんは秩父の山で小脇にスケッチブックを抱えた
背広姿の紳士と立ち話をしました。
そのひと月後に上野の国立博物館にルーブル美術館展を
観に行くと、茶系の外套を翻すように出て来た彼に会います。
そして、その翌年渋谷のゴヤ美術展に出かけて、もう一度
出会います。
老紳士はゴヤの絵を説明し、その後近くの青山のアトリエ
に誘います。
後に高島さんは真顔で
『これはもう運命だよ。』
と言ったそうな。

画壇にも属さず、ヒトメを避けるような"遁世という過激な"
生き方をした高島野十郎。
しかし、この川崎という、いち文学研究者との因縁の出会いによって、
この野十郎の素晴らしい絵や激しい生き方が世に紹介されました・・・。

この本の表紙に載っている絵は『壺とりんご』
こういう絵を"静物画"とか、"STILL LIFE"とかいうそうですが、
野十朗は空海が好きで、かなり深く読み込んでいました。
空海の思想の影響とでも言えるでしょうか、この人の絵を観ていると
宗教心が染み出てくる感じがします。
こういう絵を写実主義という言葉ヒトコトで片付けられません。
でも、とにかく私は好きです、こういう作品が。