Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2016年3月25日金曜日

カップ焼きそば協奏曲

 学生時代に変な奴がいた。

  いつも昼はあのすっぱい味のトマト風味即席麺にお稲荷さんをトッピングして

食べていた。

周りの友達はそれを目撃しては、いつも言った。

《それって旨いのかあ!》とか、

《気持ち悪!》とか、

《お前、変!》とか、非難囂々。

  或る時、即席麺を箱買いし、コンビニでお稲荷さんを大量に買って来て、

『そんなに言うなら、食べてみろ!』。

 みんなは恐る恐る食べてみた。う、うまい!


  いつも行く喫茶店のお兄さんは即席麺評論家という程に蘊蓄を披露する。

 『即席麺ってあの揚げ油やら何やらがついていて、不健康な感じがするけど、カップ

焼きそばは一度お湯で洗うっていうか、油を捨てるから健康的な感じがする

んだよねえ。』

 『でも、同じだと思うけど・・・』言葉にはしないけど黙って聞いている私。

 『付いているカヤクは麺の下に入れるとお湯を捨てる時に流れなくていいんだよ。

それに、菜箸でふたを抑えながらお湯を捨てると良い。』

『へ~。』

『でさあ、付いているソースも一カ所じゃなくて、周りに満遍なくかけるといいよね。』

『付いているソースって、やはり不健康じゃないの?』と居合わせた客。

『いやいや、あれは健康に良い配合のソースでしょ。』

どこからそう言う論拠になるのかわからないけど。

  

 最近、あの志の輔さんが長年やっているペヤングの焼きそばに不祥事があったことで、

あのコマーシャルが観られなくなったけど、結構この焼きそばが好きな人は多い。

ゴキブリが入っていてもいいからこの焼きそばを食べたいという若者もいる。で、最近、

ペヤングではなく、ペヨングというのが発売されているらしい。ペヤングより、小さめで

味は少し薄く、値段も若干安い。これがなんだか売れているんですって。

 人の好みというのは不思議。

 

 随分前に五月みどりさん対談の中でこんなことを言っていました。彼女の料理上手はよく

知られているらしいのですが、お肉やさんの娘さんだったので、コロッケが手っ取り早く

いつもあるものだから、即席ラーメンの上にコロッケを乗せてよく食べていた・・・という

子ども時代の思い出を語っていました。

 これには美味しかったとか、まずかったとかのコメントはありませんでしたが、きっと

不味いに違いないと思う。コロッケの周りはカリッとしているから旨いのに、液体の中に

入れたら、無惨な形になるのは必定。親が忙しくて、子どもの面倒にまで、手が回らない

・・・という環境だったのでしょうねえ。そして、同じように親が忙しい環境で育った私にも

嫌な思い出が。

 私はミッションスクールに通っていました。お昼のお弁当の時間が嫌でした。

 いつも学校に来るパン屋さんで買う甘いパンやサンドイッチを買っていました。

『パンが好きなのね。』という先生の言葉に傷ついていました。だから、今でも甘い

パンが好きではない。

  

2016年3月19日土曜日

昨夜のカレー、明日のパン

 2014年本屋大賞をとったそうです、この本。

 いつもの本屋の入り口の一番前に平積みされていた本。

 反射的に避けて通ったのだけど、最近こういう,所謂、軽い泣かせるお話を

読んでないなと戻って手に取った。そのままレジに行き、⒉~3日横目で眺めて

いたのだけど、《はいはい、分かりました、読みますよ。》とばかりにこの世界に

入っていく。

 発見して解放されていく、決して解決じゃないけど、

  《それでいいんじゃないの!・・・》というほっとする着地。

 ここに出てくる人は何か間が抜けていて、人に騙された事にも気づかない・・・

 そんな人が主人公の周りでウロウロする。

主人公は社会の移り変わりに息苦しさを感じている。

会社の7枚綴りの伝票処理が快かった時代が過ぎ、いつの間にかコンピューター

で処理されるようになる。課長はいつの間にかコピーをゼロックスをとって来てくれ

というようになり、機を織るように漢字を見つけては拾う和文タイプはなくなった。

 みんな一生懸命新しいシステムに慣れて行く。しかし、そういう仕事に楽しさを

見いだせなくなってしまった。

 時代の移り変わりの中で何かこれは違うんじゃないかと不安や疑問を持つ人は

多いのでは・・・。

すぐに慣れる人、疑問なんか持たない人、いつまで経っても慣れない人、これは違う

んだと辞めたり、引きこもってしまう人。

 みんなそんなに器用じゃないんだ。でも、それでも自分が居心地が良いと感じる

処を見つけてなんとか、生きて行く。

 そんな優しさを感じながら・・・密かに泣きながら、そして、心がほっこりする。

 慰められる良い本でした。

2016年3月12日土曜日

自分を表現する言葉

  『今日は何となくお休みしたいな・・・』と5歳になった孫が言う。

大人の会話に交じって、『じゃあさあ、こうしたらいいんじゃないの?』と提案なんかもする。

  ちょっと言葉が遅いかな?・・・なんて心配させた孫が言葉を覚え始めたら、しゃべるは

喋るは。

  二つ上の孫は小学1年生。こちらもおしゃべりが上手。そして、大人っぽい言葉使いが

多くなって来ている。

  さて、先日いつもお兄ちゃんと帰ってくるのに一緒ではなかったので、聞いてみた。

  『どうして一緒じゃないの?』

  しばし、孫は考えている。

  『あのね、都合が同じじゃないの。』

お兄ちゃんは6時間授業でご本人は5時間授業。だから一緒には帰って来られないらしい。

その辺の事情を知ってか知らずか、まあ、説明するのに精一杯考えた返答だった。

『都合が同じじゃない』は素晴らしい。


  さて、今読んでいる福岡博士の

《変わらないために変わり続ける》

は実に面白い。

  普通、科学雑誌というか、新書の類いは、書いた本人が文系でない為に説明が難解だったり、

言葉が適切でなかったり・・・というか上手じゃない事が多く、読んでいても分からないか、面白

くないか・・・のどちらかですよね。

  でも、この福岡博士の本は実に平易で分かりやすい、

この博士の文章は小説のような文で気取らず、飾らず、それでいて、科学というものの奥深い

システムを軽く語って、読んでいる者を分かったような気分にしてくれる。

この方は本当は細胞の研究をなさっていて、

一時よくテレビに出ていらっしゃいました。その時に有名になった彼の造語は

  《動的平衡》

つまり、細胞は常に細胞分裂を繰り返している。しかし、エントロピー増大の法則《ものは絶えず

変化している。新しいものは古くなり、綺麗なものは汚れて行き、整頓されているものは乱雑に

なる。》に絡めとられないように、細胞は分裂してもすぐに自らを壊して新しく再生する。

  だから、細胞はかなり凄いスピードで再生し、破壊される・・・というのだ。

  福岡博士は今また、ニューヨークでの生活を楽しんでおられるようですが、この時のエッセイが

この本。

  しかし、このエッセイは読んでいるうちに、ほんのちょっと細胞について詳しくなれるという貴重な

  本です。彼は日本に居る間に理数系から、文系に教授でありながら席を変えたという御奇特な

変人教授。

  こんなのあり?・・・と言われる程、妙な変身を遂げた先生なんですね。

普通、学生が悩んで、理数から文系へ、又はその反対という話はききますが・・・。

  で、その通り、文章が御上手です。


  人は自分の考えを言わなければ相手に分かってもらえません。自分の言葉で説明する時には

それに最も合った言葉を造るか、探すかしなければ出来ないわけですけど、探すとしたら、てっとり

早いのはそれなりの本を読むことですね。

  私は司馬遼太郎さんの言葉使いが大好きですが、悩んでいる時などには必ず、ぴったりの言葉が

眼の前に現れます。『これだ!』と嬉しくなります。


  先日、大病院で先生とのやりとりの最中、次の予約の日にちを決めていました。

  『あ~、その日はヤバいですねえ。』と私。

  『やばいですか?』と先生。

私は言葉が悪いのを反省して、

  『済みません、言葉が悪かったです。』と言うと、

  『えっ、私が先に言ったのですか?』と先生。

  『いえ、私が言ったので先生が反応してしまったのです。』

  とまあ、たわいのない話なのですが、私はついつい早口でペラペラやるので、相手を引き込んで

しまうところがあるなと反省しました。

しかし、この場合やはり、都合が悪いです、というベキだったと考え直したのだけれど、ヤバいが

ピッタリ・・・というのは結構あるんですよねえ。