甘さはさとうきび糖でつけましたが、
普通の牛乳と生クリームでつくる
プリンを凌いだ旨さでした。
はじめに作った物より
いい味が出たので、
ひと安心ですね。
今日はけんちん汁と小豆入り
玄米ご飯でした。
おいしかったあ〜。
感謝。
今年読んで一番に感動した
《横道世之介》の次にいいな!と
思えた作品かな。
いやいやそれ以上かも。
最近はごくごく普通のどちらかと
言えば"負け組"とでも言えそうな
そんな社会構造の底辺の人々の
何気ない日常を心を込めて綴った
作品が多いですね。
しばらく前にNHKでこの作品の
ドラマが放映されていました。
父親と5歳の娘の2人暮らしの家庭に
風吹ジュンさん扮する
行き遅れの"乙美さん"が
後妻として入って来ます。
そして、時がたち、この乙美さんが
亡くなり、その後の49日を迎える
までのお話です。
乙美さんの生き方、せつなさがいい感じ
に伝わってきます。
《好きとか、アイラブユーとか、そんな
言葉はなくてもいいです。私がこしらえた
ものをおいしそうに食べてくれる人、
それだけで充分に幸せです。》
乙美さんは行き遅れの自分をただの
労働力としてではなく、感謝される
そんな存在になりたいと切望するのです。
いままで、知らなかった、そして、
知ろうとも思わなかった、その人の
過去、歴史が解き明かされ、娘の百合子は
初めてその継母の心に触れます。
人というのは、何か特別の機会がなければ
その人生を語ったり、興味を持たれたり、
そんな時はなく、死なれて初めて何も
知らなかったということは多いもの。
そして、亡くなった人の意外な人生は
残された人に暖かい何かを残します。
49日を迎えるまでの準備期間の
周りのひとびとのドタバタを
優しいタッチで描いている
良い作品でした。
で、朝吹真理子さんが
《この人の文章大好き》
と言っているほどだからいいのかな?
と思って手にとったのが、この本。
《もののはずみ》は生活の周辺にある
色々な生活小物などや雑貨を中心に
その時々の心のありようやそれに
まつわる小さな物語を綴っていて秀作です。
フランス文学者らしく、フランスの街角で
出会った骨董屋さんや物との付き合いの様子
が美しく語られています。
私が特に好きで、素晴らしい筆の運びだと
思うのは最後のほうに出てくる。
《冷えた心をあたためる器具》
というところ。
出だしから思わずのめり込んでしまいました。
《ずいぶん前のことらしいのですが、
・・・薄汚れた大きな車輪みたいな
ものを抱えてふらふらふらふら頼りなげに
歩いている眼鏡の男の人がいて、それが
あなたにとてもよく似ていた、いや、ご本人
としか思えなかった、という話しを友人から
聞いたのです、そのようなご記憶はおありで
しょうか、と仕事で付き合いのある方から
証人喚問ふうに問われてめんくらいながら
、ははあ、じゃあ、たぶんあの日だろうな、
と思い当たる節があった。・・・》
と6行ぜんぶが一つの文章になっているのだけど、
これが良い。
全部で50篇くらいですが、それぞれ楽しく
読ませてくれます。ちょっと、人を待つ間に
読んでほのぼのするのがいいかもしれませんね。
このトイレに備え付けられて
いる『ジェットタオル』
なんとかならないものか。
まったく、無駄な装置だと
思っていました。
で、みんながこれで
手を乾かすのを
観て釈然としないんです。
これって、必要ですか?
でも、誰も不必要とは
いわないのですね。
私ひとり、トイレで
これ観よがしにハンカチを
ひろげて拭いていても
誰も気がつかない様子。
で、今回の節電の折から
ルミネのビルのトイレが
こういうことになりました。
やった、万歳!
この作品はおそらく、"人は何で生きるのか"
という事を人間の内面の魂の有りようから
解き明かし、SFという奇想天外な手法で、
面白く、しかも皮肉たっぷりに描いたもの
だと思います。
やがて、一つの家族が悲しくもオーソドックスな
幸せの形に納まり、散らばって行く・・・
という最後のお話になって、やっと、
ホットします。
そこまでは、何がなにやら、訳が分からない
状態です。
人間の脳にはアンテナが埋め込まれたり、
自分では考えることがゆるされなかかったり、
記憶が消されたり、と読んでいて苦しいな
と感じる場面も多いのです。
この作家でなくては発想できないSF作品に
最初とっつきにくい感じがしました。
でも、だんだん読んで行くと、
主人公のマラカイ・コンスタントがラムフォード
によって、タイタンへおくりこまれたり、自分の
自由意志の通りに動くことができない人たちに
囲まれて労働させられたり、違う世界に行くと
名前が変わってしまったりして、うっかりすると
訳がわからなくなるのですが、面白さにのめり込んで
いる自分をはっけんします。
ここに出てくる、
"実体化"とか、
"時間等曲率漏斗"とか、
中でも面白いのが、
"ひょうろく玉"という酸素の丸薬。
これをうまく使いこなすにはシュリーマン
呼吸法を身につけなくてはいけない、だとか、
とにかく面白いのです。
そして、カート・ヴォネガットの考えている
世界はこんなことかもしれません。
それはこの本の中ほどに出てくる
『・・・あらゆる地球人の心に熱狂的に
迎えられることになる新しい宗教の知らせを
ここに伝えよう。
国境は消失するだろう。
戦争欲は消滅するだろう。
あらゆる羨望、あらゆる不安、あらゆる憎悪は
死に絶えるだろう。
この新しい宗教の名は、
《徹底的に無関心な神の教会という》
・・・人々をいつくしめ、そうすれば、
全能の神はご自分をいつくしまれる。』
このほかにもこの本の中には示唆に富んでいる
多くの部分があって、はっとしますよ。