久し振りに高村薫さんの『少女A』を読んで、この人が空海について書いた本があったな
と探してみました。
高村さんは阪神淡路大震災に遭いました。
そして、東日本大震災の後3年後に福島に入る事が許された事をキッカケに
空海の周辺を探ってみようとの思いに駆られたようです。
『・・・長らく、近代理性だけで生きてきた人間が人間の理性を超えたもの、言葉で言い当てる事が
出来ないものに直面し、その事を身体に刻んだ。
以来、手探りで仏教書をひもとき、仏とは何かと考え続けて、今日に至っているが、それでも、信心
なるものには今なお手が届かない。』
そんな訳で、高野山に行って見ようと思い立つのですね。
司馬遼太郎さんは空海を世界一頭の良い人と評しています。
空海が長安の都に入り、高名な恵果阿闍梨に教えをこうたのは余りにも有名な話ですね。
初対面の空海に6月には胎蔵界の灌頂を、7月には金剛界の灌頂を、8月には阿闍梨位の伝法灌頂を
矢継ぎ早に行ったそうです。全部教えを乞うのに、何十年もかかるというのに。
千人以上の弟子の中で空海一人に自分の命をかけて授けると言うのは
運命、もしくは奇跡でしょうね。
こののち空海は急ぎ日本に戻りますが、これが最後の遣唐使の派遣
しかも、空海はまだ一年以上唐にいなければいけないのに、強行してかえってきます。
その後、恵果も亡くなって仕舞います。
しかし、こういう事実を中國の人はどう思っているのでしょうね。