Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2011年10月10日月曜日

『李欧』

高村薫さんの本を久しぶりに読みたくなって、
ブックオフでみつけました。
家に帰って開けば、すぐに読みたい。
雑事を片付けて、読み始めればやっぱり
引き込まれます。
この人の文章は工場が舞台になる事が多く、
男の人の文章か?と思うほど機械に詳しい
記述が延々と続いたりします。
別の本『照柿』では旋盤を使った微細な
過程を長々と読まされて嫌気がさした
こともありますが、文章の切れの良さは
こういう辛さを差し引いても余りある
面白さです。

この物語の一方の主人公である李欧は魅力の
ある人物に描かれています。
もう一方の主人公吉田一彰はこの李欧に
男の魅力を感じます。
同性愛のような輝きをもって描かれて
います。男がオトコに恋をする
李欧は一彰に言います。
『惚れたっていえよ!』

この二人は
お互いに22歳の頃に同じ工場の宿舎で
すれ違いながら、ほんのひととき暮らします。
拳銃、麻薬、人殺し、テロ、マネーロンダリング
など、危ない稼業を余儀なくするはめに
陥り、警察にいつも見張られるという生活を
するのですが、この作家には珍しく
明るい、明るい未来の生活が描かれて、
ほお〜っと心が浮き立ちました。

私もこんな風に人性が終わったらいいな
と思ってしまいました。

この話の真ん中に一本の桜が基軸に
あって、全てのお話や登場人物に
この桜が濃厚に影響しています。
桜は日本人にとっては欠かせない木であり、
生活の節目ふしめに色を添える木ですが、
李欧にとっても、大切な木になっています。

『黒竜江省に土地を用意した。・・・
ハルピンとチチハルの間の何もない
草原と砂漠だ。
河岸の湿地に桜の苗木を千本植えた。
来年も、再来年も植えよう。』

私もこの李欧に会いたい。
この作家が描く人物には魅了されます。