川上未映子さんが、初めてインタビューに挑戦して、村上春樹さんに色々聞いている。
とても心地よい、濃厚なお話しが聞けておもしろかった。
川上未映子さんも流石に文章を書く方だけに言葉の選択が研ぎ澄まされていて、聴きどころ
が立派。お若いのに、頭の良い人というのは洗練されているのだなあと感心しきりでした。
村上春樹さんも同じ作家の川上さんに真摯にこたえられていました。
中でも、
ジョイスの『イマジネーションとは記憶のことだ』という言葉を引用して、意識したものも、
意識しなかったものも一かたまりづつそれぞれキャビネットにドンドンはいっていくのだと
仰る。それを創作の時に引き出す・・・というより自然に出て来る。
書く人も書かない人も実はキャビネットをちゃんともっている。
けれど、ある程度、年を重ねないとキャビネットの数がふえないのでは・・・とも、凡人の
私には思えるけど、若くても鋭い感性とか審美眼とでも言うのだろうか、キチンと考える癖が
ないと大したキャビネットになり得ないのではと思う。
チョット話がそれるけど、随分前に向田邦子さんのエッセイの中に『引出し』と言うのがあって、
中に『う』という項目がある。食いしん坊で有名だった向田邦子さんは美味い情報があると
必ず、メモをこの中に放り込んでおく。今ならスマホのメモに入れておくのだろうけど、
私も真似をして暫くそう言う箱を手元に置いておいた事があった。
私にはこの程度の
キャビネットしかおけないな。