二つの振込先にお金を送る為に
『お願いします。』
『合わせて11430円です。』
お財布の中に2千円札が居心地悪く
座っている。
これはなんとか早く、私の手元から
飛んで行ってもらわないと・・・
で、一万円札とこの2千円札を出す。
くだんの局員、
若造だ。
一瞬、怯んだように見える。
・・・・
『・・・さあ〜ん。』
顔の筋肉が引きつったり、歪んだりして、
半ば笑いながら・・・
『いやあ、珍しいですねえ、
ほとんど見ないし、
まっ、器械通ったから大丈夫だと
思うんですけど・・・』
『・・・(偽札だって、言うんかい!)』
まっ、私もオトナですから、ぐっと呑み込んだ。
で、更に聞いてくる。
『どこで、手に入れたんですか?』
『お客様がこれを持ってらしてね。』
私話し出したら止まらない。
『お客様がね、珍しいお札が好きだとか
で、これって小渕首相の時のお札でしょ、
とか言って、微笑みながら、お勘定を
してらした。
でもね、私も思わず、
手触りを試してみたり、してしまって・・・
チラット見た時、ああ夢殿かあ〜と思った
けど、調べてみたら、守礼の門なんですね。』
『でも、珍しいですねえ。
ウチの金庫にも40枚あるかないか
ですよ。』
『だからね、やっぱり、気持ち悪いんで、
つかっちゃえ・・・と思って。』
だから〜、本物だって!
局員、すかさず、
『まっ、器械通ったから、大丈夫っすよ。』
いつのまにか、タメグチを使ってた。