面白いです。
高村薫さん、凄い作家ですねえ。
で、レビューを書いてしまいました。
のめり込むのに、ちょっと時間がかかる かも知れません。今までのように推理もの ではありませんから。 でも、日本語の本来持つべき美しさはこれ だったかと呼び覚ましてくれます。 気がつけば美しい日本語がたゆたう中で 翻弄されている。 旧仮名遣いも心地いい。 青森県の野辺地地方の方言でしばらく語られる のも何だか楽しい。 主人公彰之に宛てた母晴子の書簡には長い人生 を振り返り、その時々の母の青春が語られて います。 そして、晴子が生きてきた時代の日本の姿が なるほどこんなだったかも・・・と思わせる 市井の人々の言葉で語られて、興味深いです。 高村氏は労働の現場を描くのが実に巧い。 この作品では表紙に青木繁の“海の幸”が使わ れているとおり、漁の現場で働く人の姿が 恐ろしいほどの迫力で描写されています。 特に鰊漁での浜の賑わいと働く人の喧噪や 息づかいには圧倒されます。 本当にこの人は巧い! この部分だけでも一つの作品として成り立って います。 そして、また、のめり込んでいきます。 日本語の美しさに目覚めては如何でしょう。 |
確かに読むのは大変です。
事件が起こるわけではなし、推理ものでも
ないし、斜め読みはこの美しい日本語を味わう
にも意味はないし。
しかし、こんな風に淡々と生きていけたらと
思います。人が生きる意味は何なんでしょう
と又、考え始めてしまいました。