『王国全土を崩壊させようとした力のある魔法使いが
全国民が飲む井戸に魔法の薬をいれたの。その水を飲んだ
者はおかしくなるように。
王様とその家族以外はみんなおかしくなった。そして、
王様の決定は馬鹿げたことだと臣民が騒ぎ始めた時、
絶望した王様は自分も狂気の水を飲み、不条理なことを
口走り始めた。その国は近隣諸国よりもおかしな行動を
とっていたけど、その国は平和な日々を送り、王様は
その最期まで国を支配することができましたとさ。』
みんな狂っているのなら、自分も一緒に狂ったほうがいい
・・・という挿話が気になりつつこの本を読みました。
この物語の主人公はベロニカ。彼女は全てに恵まれて
いるにも拘らず、大量の睡眠薬を飲んで死のうとします。
しかし、死ぬことに成功せず、精神病院(ビレット)に
送り込まれてしまいます。そこには、様々な理由で
壁の中に逃げ込んでいる人達が生活しています。
本当は狂ってなんかいないのに。
でも、ガラスの壁の中が居心地がいいと思い込んで
います。
でも、みんなはベロニカの行動を見て考えます。
その中の元弁護士だったマリーはボスニアに行くこと
にします。冒険の危険には1000日分のやすらぎも
安心もかなわないと言って。
ベロニカは後1週間しか心臓がもたないと言われて
改めて生きる意味を考えます。その後に数々の箴言や
挿話がはさまれていて、私たちも迷ってしまいます。
しかし、本当はベロニカの心臓はどうだったのでしょうか。
この作家はアラブ系の人かと思っていましたが、
ブラジル人なんですね。
パウロ・コエーリョという名前もなにか詩人のようで
気になりました。読んでみて良かったですね。