角田光代さんの有名な小説"8日目の蝉"は蝉の短い命を、
又は役目を終えると潔く消えて行く・・・という宿命を
暗示して小説を進めています。
私はあの夏の盛りの"ミンミンゼミ"の最期のミーンという鳴き声に
ちょっとイラっとして居ました。
あの暑さを助長するミーンという引っ張り方に他の大きな生物の
嫌がらせを感じて自分の卑小さに慄いていました。
『夏は暑いよ!』
『俺たち夏の暑さが大好きさ、イエイ!』
『これでもか!』
それでも夏は確実に終わり始めているんですね。
異常気象なのか、毎日の雨と季節ハズレの寒さにさすがの蝉も
慌てている様子。道端には息を耐えて、人間の走らせる車の
下敷になって、哀れな姿になっているのを見かけるようになりました。
ホーシンツクツクの鳴き声に混じって、漸く、カナカナが聴こえて
きました。
昨日は孫がセミの死骸を蟻がエッサエッサと運んでいるのを
見つけてしばらく眺めていました。
『今、一生懸命、巣に運んでいるから、そこ邪魔しないで!!』
蟻はアリなりに冬への備えをもう、始めているのですね。
そんな折、義理の兄が88歳の米寿を祝ったのも束の間、8月30日に
身罷りました。
姉は12歳年上で同じ寅年の兄と結婚して、寅年の息子をもうけました。
同じ干支が家族に3人いると安泰という古くからの言い伝えを
文字通り身に受けて、全うして来たこの家族。ひたすら家族を守ってきた兄も、
ここで役目をおわったのでしょう。
お疲れ様でした。