Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2014年9月10日水曜日

小林秀雄『学生との対話』

太平洋戦争の敗北から10年程過ぎた頃、世間では『世代の断層』
という言葉が流行っていました。
この頃の20代、30代の間では明らかに人生観に相違が見られました。
依存した伝統は崩れ、頼るべき目標もなく、新しく実現すべき
社会の姿も見出せない状況にありました。
学園では思想は混迷し、イデオロギッシュな議論が横行して、誰もが、
抽象的で概念的な理論のやり取りに陥っていました。
そんな中、同じ志を持った学生達が『国民文化研究会』を結成して、
霧島で第一回『合宿教室』を開催しました。
この趣旨はいままでの日本の古い文化や伝統にもう一度向き合い、
問いただし、自己確立を図ろうとしたのです。
そして、この会の催す『全国学生青年合宿教室』(4泊5日)に昭和36年
から53年にかけて夏の暑いさなかに小林秀雄氏は5回も出席なさった
そうです。講義は朝8時半から2時間。小休止を挟んで、約一時間、学生の
質問に答えられた。
この時、全国から学生が300名、400名と集まったそうです。
この合宿教室を主催した国民文化研究会の理事長、小田村寅二郎はこの会を
"貧乏学生の集まり"と言っていたが、世間では『昭和の松下村塾』と呼んで
いたそうです。
しかし、何故こういう動きが日本の西側で起こるのでしょうか。
何故日本の中心と言うべき東京で起こらないのでしょうか。
思えば、ハウステンボスが出来たまさにその年に九州を目がけて車を走らせた
時、真っ先に有田焼や伊万里焼の窯元を訪れて、その堅牢な伝統に驚きました。
有田焼や伊万里焼のあの藍の美しさを観ると、何故か明治維新を考えて了う。
こういう伝統に根ざした職業に支えられている生活の場には、良くも悪くも、
少しも揺るがない価値観が息づいているのではないか・・・。
良く聞く"九州の封建制"・・・例えば、女の物と男の物を一緒に洗濯したりしない
というのはつい最近まで聞いています。いや、まだそうかもしれません。
女は黙ってついて来い・・・という気は裏を返せば、男が全責任を持って
家族を、社会を守るという気概の表れでは・・・。
阿部第2次内閣に女性が6人も入って、一気に支持率が跳ね上がったのは
凄い事です。こういう時代に何を言うか!・・・と叱られるでしょうが、まさに、
女性の時代になった事は女の幸せなのか・・・。

さて、この昭和30年代の講演録が何故今、本になり出版されたか・・・。
実は小林先生は講演内容を勝手に人の手で纏められたり、解釈される事に
違和感を感じられていて、録音、筆記その他の行為を禁じておられました。
生涯一行も書かなかった古代ギリシャの哲学者ソクラテスを引いて、文字で
書かれた言葉はいつも同じ顔をどんな人の前でも曝しているだけだと、書かれた
言葉より話し言葉の方を重視しておられました。
余談ですが、あの巨人小林先生でも噺家の5代目古今亭志ん生の『火焔太鼓』
のレコードを擦り切れる程に何度も聞いて間の取り方や自分の伝え方を
学んだそうです。小林先生の口調は志ん生さんによく似ていたそうです。
いやはや、聞きたかったですね〜、その肉声が。
で、だからこそ、他の人の手になる自分の講演録を文字にしたくはなかったのでしょう。
しかし、どうしてもこの素晴らしい講演内容を雲散霧消したくないという
主催者の考えで秘密裏に録音をしていたのです。
単なる商業主義ではなく、どうしても世の若者に読んでもらいたい、聞いて
もらいたいという一途な思いです。
そして、今ご家族の同意の元に陽の目をみる事になりました。
素晴らしいです。