圧倒的迫力の推理小説である。
浮世絵に余り詳しくない私には(浮世絵って
そんな歴史が有るんだ)と高校時代のお勉強
のやり直し・・・になっていて何処から何処
までが事実で、フィクションかが分からなく
なっていた。
写楽は、そのユニークな描法と作画期間が
わずかに10ヶ月、しかもその間に140枚とい
う作品を発表し、忽然と消えてしまう。
これはもう興味をそそられない方がおかしい
このことで様々な著名人が色々な憶測をする
現実には池田満寿夫さんが中村此蔵説、
石森章太郎氏は喜多川歌麿説、
中右瑛氏の鳥居清政説、
があるがどれも説得力に欠けるそうだ。
小説の中では田沼意次との政治的経済的背景
に絡んで、秋田蘭画を持ってくる。
これを確かめるために主人公津田がドンドン
推理していく過程は面白すぎて、2時間、3時間と時間を忘れて読んでしまった。
ここでは東洲斎写楽改め近松昌栄説をとって
進めていく。
高橋克彦さんがこの説を作りあげた過程が
史実に基づいて面白いのですが、これは推理
小説なんですよね。
史実としたものも何処までがフィクション
なのか・・・。
私は全部信じたい気分。
原宿にある浮世絵美術館に行って、小説の
余韻を味わって来ようかな。