Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2015年11月7日土曜日

さよなら、加藤治子さん

 加藤治子さんは向田邦子さんと共に語られるヒトだと思います。

向田作品に数多く出演して好評でした。向田さんは50歳の頃に

台湾に遊びに行って飛行機事故で帰らぬ人となりました。加藤

さんのため息,哀しみが聞こえるようです。それ程に加藤さんは

向田さんの作品の中で輝いていました。

 寺内貫太郎一家の中では気短な頑固親父を小林亜星さんが

演じていました。加藤さんはその奥さん役でしたが、何と言っても

《阿修羅の如く》の中の長女役がはまり役だったのではないでしょう

か。次女は八千草薫さん、三女はいしだあゆみさん、4女が風吹

ジュンさん。加藤さんはお花の先生なのですが、旅館の御主人と不倫

関係にあります。色っぽい、と言うか、艶やかでちょっと悪・・・という

おんなの制御し難い心の移り具合をうまく表現していて、凄いな・・・

と思わせました。

  向田さんの作品では一番有名なものが阿修羅の如くですが、私が

一番のめり込んだと思えた作品は《家族熱》です。

この中では加藤さんは三国連太郎さん扮する一家の大黒柱の前妻

という役柄。

後妻さんが浅岡ルリ子さん、息子さん役が三浦友和さん。前妻さんは

どういう訳で家を出たかは語られていませんが、或るとき、前妻さんが

その家に押しかけてきます。

二階に上がる階段の一カ所がキシキシと踏む度に鳴ります。

このキシキシという処で加藤さんが足を踏みしめ、音をゆっくりたてながら、

『そう、ここ鳴るのよね~。』というような感じで台詞を言ったと思います。

  家族に対する思い、家のあちこちに残る想い出が、ここを出て行った

深い後悔とともに思い出されて切ない・・・.こんな感じだったと思います。

 今が不幸だから、想い出がとても切なく大切なのか・・・と感じながら

観ていました。そして、まるで狂わんばかりの懐かしさの中で涙を流し

ます。それを階下から恐怖を感じながら、後妻さん役の浅岡ルリ子さん

が見つめ、なす術もなく、呆然と立ち尽くしている。

  名画面であり、加藤さんの凄い演技でした。

  この脚本を書いた向田邦子さんも一流ですが、受けて立つ加藤

さんも凄いヒトでした。

  この向田さんを師匠と仰いで、向田作品を彼女の死後も作り続けて

いた久世光彦さんも既に亡くなりました。毎年、お正月のテレビドラマ

には向田邦子脚本、久世光彦監督、加藤治子出演、黒柳徹子ナレーション

という黄金の組み合わせが出来ていました。でも、もう終わったのですね。

  我々の時代の色々な想いを詰めていた何かしら塊のようなものが、時間軸

に流されて行く。

  加藤治子さん、あなたが居なくなって、本当に寂しいです。昭和という

時代が『ああ、そんな時代もあったよねえ~。』と語られるのですね。