この《即興詩人》はアンデルセン原作の
小説ですが、森鴎外が小倉にいる時に
9年の歳月を費やして日本語に翻訳した
ものです。
これは時代的には文語体で書かれている
のですが、安野光雅さんがもっと若い人
にも読んでもらいたいと今回、口語訳に
挑戦して6年の歳月を費やして完成
したものです。
この物語はアントニオという即興詩人が
イタリアを渡り歩きながら恋をしたり、
失恋したり、友人のベルナルドと決別
したりしながら、イタリアの各地の
素晴らしさを描写していきます。
ある意味ではイタリア旅行案内書にも
なっていると思います。
南はソレント、アマルフィ、ナポリ、
そして、ローマ、フィレンツエ、パドヴァ、
ヴェネツイア、北のヴェローナ、ミラノ
などの美しさが詩に謳われるように描写
されます。
出来れば森鴎外の文語体のほうも読んで
ほしいと安野さんはおっしゃっていますが、
本当に私も読みたくなりました。
『無人島に持って行くなら
この《即興詩人》を持って行く』
という人が著名人の中には多く、
安野光雅さん、山田風太郎さん、
小泉信三さんなど多数おられるとか。
この口語訳は簡単に読めますよ。