東京に来てから40年になるのに、我が家の
近くにある幻のお寺にやっと行って来ました。
いつも私の記憶の奥に仕舞われていて、ボヤッと
した輪郭しかなかった何か由緒ありそうなお寺。
まだ結婚したばかりの時に主人のお祖父さんの
17回忌だということだったんだろうか、ず〜と
続いた立派な籬を横目に観て本堂に入った、
という事しか覚えていない。そして、そこが
中央大学付属杉並高校の裏手だったということ。
その二つの記憶のキラキラした部分を確かめる
こともなく、40年がウカウカと過ぎてしまった。
行こうと思えばいつでも行けたのではと思う
のだが、行こうとしなかったのはガッカリ
したくなかったのかもしれない。
いざ行って見れば、思っていた通りの立派な
お寺であり続けていてくれたようだ。
そこここにある墓跡にはやっと読める字が刻まれて
いる。
『都旧跡 今川氏累代墓』
『天明四辰年 11月吉日』
『大悲観世音百尊供養』
お寺の正式名称は
『観泉禅寺』
記憶に間違いがなければ曹洞宗だと思う。
あれから30年以上も長い間、一度も訪れる
ことがなかった。つまり、お葬式がなかった
という事なんですねえ。
そして、平成16年には父が、そして、今年は
母がなくなりました。
お寺さんも何故か、代わって善福寺さんに
変わりました。
ここは観泉寺さんとは違う明るい雰囲気の
お寺さんです。お坊さんも若く何か親しみ
やすい。
今の我が家には善福寺さんの雰囲気が相応しい。
しかし、観泉寺の奥深い凛とした近寄り難い
佇まいはそのままあり続けて欲しいですね。
イイ時間が流れていました。