教皇様や枢機卿がこんなにも人間的で迷える
姿を晒している、一見権威をおとしめてはいないか
・・・という、こんな視点で映画が撮れるのが
不思議です。
バチカンがこんな映像を撮るのをよくぞ許したな
という想いが頭をよぎります。
この映画は《ローマの休日》の法王版のような
映画です。
次期ローマ法王を選出する為に、120人位の
枢機卿がバチカンに集められ、あの有名な
コンクラーべ"Conclave"がおこなわれます。
ところが、みんな法王には選ばれません様に、と
祈るばかり。
そして、選ばれた次期法王は嫌だ、イヤだと逃げて
しまいます。
この法王に、精神科医がつきそったり、残った
枢機卿達がバレーボールに興じたり・・・と
想像も出来ない程に人間的な好々爺である、
枢機卿たちが、沢山出てきます。
本来なら、人々に崇められて、寸分も迷わないと
思われている方達です。
バチカンは勿論、世界遺産ですが、この場所を
このような映画に仕上げているのは始めてでは
ないでしょうか。
監督ナンニ・モレッティが創るこの映画に乾杯
です。
みんな少しづつ我儘で、普通で、可愛くて、心
温まります。笑って、ホロリとします。