Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2015年6月10日水曜日

獅子文六《大番》

獅子文六と言えば、我々60代の人間には御馴染みの作家さんではないだろうか。

先日の世田谷美術館の売り場で久しぶりにお目にかかった名前で、思わず

《懐かしい!》

と手に取ってみた。

昭和の30年代だと思う。まだまだテレビが一般的ではなく、放送する局も、番組も

NHKぐらいで今のように一日中放送されていなかった頃。

大衆小説を主に書いていて、特に《えっちゃん》という子供を話題にした本が

売れていたのか、このえっちゃんそのものがテレビ番組で放送されていて、主役が

あの日本のシャーリー・テンプルとでも言うべき松島とも子さんだったと思う。

そう・あのなんだかアフリカだかに行って、ライオンに頭を噛まれたとか、命かながら

帰った人という方が分かりやすいだろうか。

私はこの番組をよく観ていて、獅子文六という作家の名前も親しみを持って覚えて

いた。

この名前を観ただけで、あの頃の実家のテレビのある茶の間が浮かんできて

胸が熱くなって、切なかった。

早速中身など考えずに買って読んでみれば、えっちゃんなどとは全く違う男の

サクセス・ストーリー。

実はと言えば、こういう痛快なのに飢えていたからのめり込むように読んでしまった。


この本を紹介している北上次郎さん《いかにもペンネーム!!!》の持論?から言えば、

《徒手空拳の男が機知だけでのしあがっていくど根性サクセス・ストーリー》には6つ

の条件が必要であると言います。

1・主人公は貧しい少年時代を過ごすこと。

2・さらに容姿に恵まれないこと。

3・艶福家のわりに憧れの女性には何もできないこと。

4・事業に何度失敗しても挫けないこと。

5・アイディア一つでのし上がっていくこと。

6・跡継ぎをもたないこと。


伝記小説は昔からたくさんあり・・・と北上さんは書いていきます。

A級戦犯として処刑された広田弘毅を書いた『落日燃ゆ』

登山家加藤文太郎の一生を描いた新田次郎の『孤高の人』

後藤新平の生涯を描いた杉森久英の『大風呂敷』

大正期のベストセラー作家島田清次郎の生涯を描く『天才と狂人の間』

石原莞爾の生涯を描く『夕日将軍』

明石元二郎伝『錆びたサーベル』

水上勉『宇野浩二伝』

阿川浩之『山本五十六』・・・・・

まだまだ沢山紹介しているけど、どれも読んでないなあ~。


で、上の6つの条件にあてはまる作品はこの大番おいて他にないとまで言い切って

います。

そして、その他に・・・と挙げた本には御馴染みの名前が登場する。

柴田錬三郎の『図々しい奴』

花登筐の『あかんたれ』

清水一行『ふてえ奴』

清水史郎『負けるが勝ち』


このサクセスストーリーは株で一代を築いた男の物語。

それも株というものが一番面白い(のかな?)時代の戦前戦後のお話で

ほんと!かいな・・・

という儲けたり、大損したりのジェットコースター並みの面白さ。

獅子文六さんはこんな小説まで書いていたのですね。

今読んでも少しも古くないエンターテインメントでした。