冒頭、不機嫌なフィリップを乗せた介護人
のドリスが運転する黒塗りの車が走る。
音楽も不機嫌な気分さながらに哀感誘う、
ピアノの反復フレーズ。いかにもフランス映画
らしい。
渋滞の中、ドリスが200フラン賭けるか、と切り出す。
いきなり縦横無尽に前の車を抜き去ってパトカーに
追いかけられる。
しかし、後ろのパトカーは振り切ったが、目の前に
別の車が待っていて、降りろ!
ドリスは身障者がいるので、救急病院に連れて行く
途中なんだと嘘を言う。
じゃあ、病院まで、と先導される。
ふたりはこの病院の前からまんまと逃げる。
ふたりの大笑い、不機嫌だったフィリップがイキイキ
としてくる。
ここで、アース・ウインド&ファイアーの
《セプテンバー》の音楽がかっこよく流れてくる。
パーリら、パーリら、パパら、パパリラ〜、〜。
明るい乾燥した打楽器、夕焼けに響く高音の
吹奏楽器が気持ちを高揚させる。
さあ〜、始まるぞ、楽しいお話が!!!
パパら〜、パパリラ、ぱあぱら〜、
ああ、なんて楽しいんだ。
この映画、音楽の使い方がものすごくうまい。
ここまで、10分くらい。
後は、フィリップとドリスの会話の進展が絶妙。
フランス人らしい、ひねりの効いた皮肉が爽やか
に聞こえる。
上手い!
フィリップは貴族出身の大金持ちでクラシックの
愛好家。
スラム出身のドリスはヴィヴァルディの
《四季》を職業安定所の曲と言い、リムスキー
コルサコフの《熊ん蜂の飛行》を《トムとジェリー》
と笑飛ばす。
そして、フィリップの誕生日の終わりには歩くことの
出来ない彼の前でドリスは《ブギー・ワンダーランド》
の楽曲に乗せて軽妙に踊り狂い、周りのみんなも気遣い
を忘れて、本来の楽しい気分に浸り、それを見ている
フィリップも心から楽しむ。
このお話実話なんだそうで、今のふたりは幸せに暮らして
いるそうですよ。
2011年フランスで興収1位。その後、各国で一位。
今日も朝早く一番の時間に観に行ったにも拘らず、立ち見。
立ち見なんて、《南極物語》以来ですね〜。