ダン・アリエリー教授によると、私たちは二つの異なる世界に住んでいると
しています。
社会規範が優勢な世界と市場規範が規則を作る世界に同時に生きている。
市場規範に支配された世界は全く違う。ほのぼのとしたモノは何もない。
賃金、価格、賃貸料、利息、費用便益などやり取りはシビアだ。
この二つをどう使うか、どう選択するかが、重要だといいます。
この二つの選択を間違って使ってしまった例があります。
託児所では親が遅れて迎えに来るのに困って、罰金制度を考えました。
イスラエルの託児所では時間に遅れると言うのは後ろめたい気分になります。
ここに、社会的規範をあてはめました。そのことでは早く迎えにくるように
なったのですが、罰金を課す事で社会的規範を市場規範に変えてしまいました。
親は罰金を払えば良いのだから、遅れる事も自分の判断だと考えるようになり、
返って、遅れる親が増えてしまいました。
託児所は罰金制度をやめましたが、親達の罪悪感は復活せず、元には
もどりませんでした。
あの有名な"となりのサインフェルド"の劇中の話ですが、サインフェルドが
お手伝いさんを雇う場面があります。
仲良しのエレインは辞めなさいと忠告します。
そのお手伝いさんは凄い美人で、サインフェルドはすぐに恋に落ち、二人の
関係は変わってしまいます。
お手伝いさんは恋人に変わり、お金を払っているにも拘らず、お掃除も
しません。
私たちは市場規範で考えるべきか、社会規範で考えるべきか、いつも選択に
迷います。
さて、ここにお金がない社会を創り出そうとしている人たちがいます。
『バーニング マン』
毎年ネバタ州のブラック・ロック砂漠で行われるイベントで、
4万人程の人が参加するそうです。
[この本には4万人と書いてありましたが、昨日観た放送では7万人と
増えていました。]
これは1986年にサンフランシスコのベーカービーチで始まりました。
仲間うちで2メートル半ほどの木製の人形と少し小さい木製の犬を作りあげて
最終的にはこれを燃やすのだそうですが、年々大きくなっている・・・そうです。
現に昨日のは巨大な大きさの人形でした。
このイベントでは市場規範を排除しています。バーニングマンではお金が使えない。
開催地全体が、プレゼント交換経済で動いている。
カウンセラーは相手に無料で行う、マッサージ師は相手にして上げる、
飲み物やアクセサリーを作って相手にあげる。
ダン氏はこの社会は最も懐が深く、社交的で、思いやりのある空間だった
と言っています。しかし、この中で、一年やっていける自信はない・・・とも。
ただ、市場規範が少なめで、社会規範が多めの生活のほうが、気持ちよく
有意義に充実感をもって楽しく暮らせると確信出来たといっています。
因みに昨夜観た番組は『超能力』を取り上げていました。
細胞の一番細かい単位が量子というものだそうです。
難しくて、よくわかりませんでしたが、ここに、乱数発生器をおいて解析
すると、この人形に火をつけて焔が燃え上がる瞬間に大きく何かが発生
したとか・・・よくわかりませんが。
これが、超能力と関係するのでは・・・という実験でした。
お金は勿論便利なモノですが、社会規範によって、人々が利己的な目的に
あまりこだわらなくなり、他者の幸福にもっと注意を向けるようになる
ことが、良いのでは・・・ということなのですが、人は感情が昂ぶって
いる時はこの判断が大きく崩れてしまう。
では、つぎに続きます。