Acousphere Live 2016.10.11 吉祥寺Star Pine's Cafe

2016年10月11日(火曜) 吉祥寺スターパインズカフェにてスペシャルライブイベント「Acousphere with Friends」を開催します! 
Acousphere Recordに所属するアーティストが一同に集うライブをお楽しみください!
日にち:2016年10月11日(火曜)
場所:吉祥寺スターパインズカフェ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-20-16 B1
出演:Acousphere / Acoustic Sound Organization / Aerial / Sonascribe
時間:Open 18:00 / Start 19:00
前売り ¥3,900+1drink / 当日 ¥4,900円+1drink
詳細はこちらをご覧下さい!

2012年11月27日火曜日

立派な薔薇には著作権がある。

『オルガ夫人を座らせてから、ニコライは腕まくり
をし、薔薇の密林に入って行った。そして、おもむろに
片端から一つずつ薔薇の花をもぎ始めたのである。
オルガ夫人は驚愕した。ニコライは止めない。
満開の花を首からもいでいく。あっという間に籠は
真っ赤な薔薇の花びらで満杯になっていく。
ニコライはバレエを踊るような足取りで回りながら、
その花びらをオルガはの上にまきちらしました。
"ニコライの贈り物はその薔薇の花びらで作った香水
だったのです。"』

内田洋子さんの《ミラノの太陽、シチリアの月》は
彼女が記者時代に見聞きしたお話を纏めたものです。
オルガ夫人のお話は"ロシア皇女とバレエダンサー"の
項にあります。

リグリア地方の温暖な地方に流れてきたロシアの皇女
オルガはある時そこを訪ねてきたバレエダンサー崩れの
ニコライの為に古い船を買い受けて改装し、ホテル併設
の船上レストランを開業させます。
この恩にむくいる為にニコライは考えます。

人気の薔薇種は種も苗木も開発者に著作権使用料を払って、
買う。一本の苗木に幾つの花がついたか著作権所有者に
農家は報告をしなければならない。
著作権付きの薔薇の木に花がつき過ぎると、薔薇の勢いが
衰え、価値がさがる。その薔薇を苦労して生み出した開発者
は劣化した子孫が増えるのを禁じている。
それで、農家は指定以上の花がつくと、どれだけ美しくても
摘み取ってすてなければならない。
ニコライはこの温室を借り受けて、蕾をもぎ取った。
かぐわしい薔薇の香りに包まれて、舞い上がる花びらに
夢見心地になり、そして、この最高の花びらを摘み取って
作った香水は満開の薔薇の気品を凝縮させたような、高貴で
無類の香りだった。
オルガ夫人は今は無きニコライの想いでを抱きしめるように
この香水の入ったガラスの瓶を見せてくれました。

イタリアに生きる人々の光と陰。
まるで映画を観るような光景が繰り広げられるこの一編は
深い感動を呼びます。イタリアに生きる・・・というのは
なぜにこんなに物哀しいのか。まさに今でも、あの自転車
泥棒や、鉄道員やニュー・シネマ・パラダイスのような
おはなしがごろごろしているのです。
須賀敦子さんのご主人のペッピーノが背負っていた人生が
今もあるのですね。
私はやはりイタリアが好き!