糸井さんは43とか、44歳の時に『自分にとって、何が快適なのか』とか『幸せとはどういう
ものなのか』というような青少年が思うような事を考えなければ、少なくとも『何が面白いのか?』
も分からないないんじゃないかと気づいたそうです。ひどく晩稲だけど。
そして、机の上で考え込むタイプの若い頃の思想とかではなくて、自分のボディと自分の世界観とが、
初めてジョイントしたから面白かった・・・と言います。
ちょうどその頃にインターネットも始めたそうですね。
その発信の仕方は未完成なら、未完成のまま書こう・・・という『分からない事はわからないときちんと
言って、あとは誰かが続きを考えてくれる』というやり方。
インターネットは他人のものを使えるチャンスが増えるのと、他人の脳に刺激を与えるチャンスが増える
という大きな役割もある。結果がでないと商品の値打ちがなかったような時代ではないから、プロセス
を値打ちにしていけば面白い。
ここで、池谷さんは言います。科学のあり方も変わって来ていると。
昔の科学は結果勝負なところがあって、全部を証明して作り上げたあとにはじめて発表していたのですが、
今は仮説のまま公表してしまう。
仮説の発表後に人が寄ってきてその仮説を証明していくというように、科学全体がプロセス重視に
変わっている。インターネットの発展に伴って、情報の行き来が速くできるようになったために、
閉鎖系から、解放系に移っている。
あの『スタップ細胞はあります!!!!!』と言わなくたって、その途中の段階で、ここまできたけど、
成功する時と、出来ない時とがあって、まだ、安定はしてないのですけど・・・とにかく出来るんです
・・・くらいは言えたのでは。
仮説をたてる・・・という事、『あとで修正するかもしれないけど、今考えていることはこういうことです。』
という表現は可能性に満ちている。人類史上稀にみるロングセラーは『聖書』『論語』。
これらはいずれも『・・・である。』と断定していない。『・・・と言った。』と他人とのつながり中で
語られる仕組みをとっている。
これは話の内容を伝わりやすくする表現のテクニックであり、考え途中のまま発表しているのですよ・・・
という方法論でもある。
いやはや、面白かったです。