この本の書き出しはこうである。
『僕ら人間について、大地が、万巻の書より
多くを教える。理由は、大地が人間に抵抗す
るがためだ。人間というのは、障害物に対し
て、戦う場合に、初めて実力を発揮するもの
なのだ。』
この本を最初に訳したのは、かの有名な
堀口大学。
テグジュべりはあの有名な星の王子様の作者
であるが、この本は職業飛行家としての15年
間の豊富な体験の思い出を語ったものです。
彼は1944年7月31日、フランス解放戦争に従
軍中、偵察を目的に単身ライトニングに搭
乗、飛び立ったまま、地中海上で行方不明に
なった。
ナチスの戦闘機隊と遭遇し、多勢に無勢、追
撃されたものとしんじられている・・・そうです。
ここに、又、宮崎駿さんが空のいけにえ、と
題し、飛行機に対する専門的なお話しとその
時代の背景を語っておられます。
職業飛行家が終戦の後、郵便飛行家として、働かざるをえなかったこと。未熟な飛行機に
命を託すことの辛さと覚悟。
最近の宮崎駿さんのアニメにも出てくる飛行
機関連のエピソードや場面。特に面白いと
思ったのは『紅の豚』の飛行機工場の女達。
宮崎さんの実家が1000人もの従業員を抱え
る飛行機部品工場であったというのは納得
ですねえ。そして、そこがあの激しく空襲を
受けた宇都宮の工場であったというのは
驚きです。わたしはその宇都宮の生まれです
が、もっとその辺の話を母から聞いておけば
良かったと後悔しています。
この本の一番面白いところは砂漠での経験の
ところではないでしょうか。
ベドウインの部族に助けられたと書いてあり
ますが、行ったことのない私はあの壮大な
映画『アラビアのロレンス』を思い出していました。あのピーター・オテュールのロレンスがベドウインの王様役のオマーシャリフと
やり合う所などは秀逸でした。
読んでいる内に様々な夢をみさせてもらいました。面白かったです。